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Article: 「嫌なことをいっぱい踏みつけて、どこかに連れ出してくれる靴」あの×坂部三樹郎:対談

「嫌なことをいっぱい踏みつけて、どこかに連れ出してくれる靴」あの×坂部三樹郎:対談

「嫌なことをいっぱい踏みつけて、どこかに連れ出してくれる靴」あの×坂部三樹郎:対談

テレビや雑誌、インターネット、メディアで見ない日はないほどの活躍を見せている「あのちゃん」こと“あの”。1人のミュージシャンとして、タレントとして、多岐に渡って活動する中、2025年9月に自身のファッションブランド「HELL BLAU(ヘルブラウ)」をローンチした。あのは実はかねてよりgroundsと縁があり、ディレクター・サカベミキオにとっても、groundsのアイコン的な存在だという。

そんなあのによるHELL BLAUとgroundsによるコラボシューズが今回実現。コラボシューズの魅力、groundsとあのとの関係性について、あのとサカベミキオの両者に話を聞いた。

 

 

ー2人はお久しぶりの対面になるそうですが、どれくらいぶりになりますか?

サカベミキオ(以下:サカベ)ちゃんとこうしてお話するのは5年〜6年ぐらい前に、ショーに出てもらったとき以来ですね。groundsとしてデビューしたのが2019年、まだブランドができたばかりの頃に一度、MIKIOSAKABEとgroundsのコラボした靴を履いてあのちゃんがショーに出てくれました。

 

ーそんなあのさんが今シーズン立ち上げた、自身のブランド「HELL BLAU(ヘルブラウ)」とgroundsがコラボしました。デビューコレクションのルックでも注目を集めているアイコニックな一足ですが、今回コラボした経緯を教えてください。

あの:HELL BLAUを立ち上げる前から、groundsさんとコラボしたいなっていう思いはやんわりあったんです。今回僕がブランドを立ち上げることになって、コレクションを作っていくうちに「こういう靴があるといいな」って思うものが、まさにgroundsさんだった。それなら、できるかわからないけど一緒にできたら嬉しいなと思って、相談してみたことから実現しました。

 

 

ーお話しを受けていかがでしたか?

サカベ:僕のイメージとしては、あのちゃんはまさにgroundsのイメージに合うと思っていたので、嬉しいですね。ショーに出てもらったのもあのちゃんがgroundsの世界観にピッタリハマって、似合うと思ったから。当時、あのちゃんに履いてもらえたら、とシンプルに思ったんです。

あの:僕が最初のショーに出た時からgroundsを履き続けてます。最初にゲットしたやつはもう本当にボロボロ(笑)それくらい愛着があって、履き古しています。

サカベ:ありがとうございます。あとで、サイズとほしいモデルがあれば教えてください(笑)

 

ーサカベさんが思う、groundsにハマるあのちゃんの魅力はどんなところでしょう?

サカベ:背も高いので、ファッション的には何を着ても似合うイメージがある。groundsを履くと背の高さがさらに強調されるので、写真でトータルバランスを見るとキャラクターっぽく見える一面もあるのが魅力的ですね。非現実感というか。すごくファッションと相性が良い。一方で、もともとアイドルという経歴も持っているというのがユニークで面白いと思います。

 

ー逆に、あのさんから見たgroundsの印象を教えてください。

あの:どういう生き方をしたらこんな靴のデザインが浮かぶんだろうって。最初見たときは良い意味で「なんだこれは」と思いました。僕にとってすごく衝撃的な出会いで、世界が広がるっていうと大袈裟かもしれないけど、それくらい大袈裟に言っていいぐらい、1つこのアイテムを持っただけでどっかいけちゃいそうな気がする靴。それってまさに、足元を飾るものとしてふさわしいと思います。

 

 

サカベ:あのちゃんがショーに出てくれたのは、まだgroundsも今ほど名前が知られていない頃だったんですが、そんな風に思ってもらえて嬉しいです。

あの:突飛なデザインの靴って、“ショーで履くもの”みたいなイメージがあったんですけど、groundsと出会って、普段も履けるところがすごいなって思っちゃいました。

サカベ:groundsはあのちゃんが言うように、スペシャルなものだけど、それをどうやったら普段履けるようにするかってところから始めたんです。僕はファッションデザインは勉強したけど、靴のことは全然知らないで始めちゃった。だからこそ、既存のモノとはちょっと違う存在感のプロダクトになっているのかなと思いますね。

 

ー今回groundsとコラボしたあのさんのHELL BLAUについて、ブランド名にはどんな思いが込められていますか?

あの:“HELL(ヘル)”は一般的に“地獄”って意味があるんですけど、“絶対”という意味もある、強調する言葉。“BLAU(ブラウ)”はドイツ語の青を表しています。僕は水色が好きで、それこそアイドル時代の自分のカラーでもあったし、ずっと好きな色なんです。身に着けるものとか小物も水色が多くて。「絶対水色」っていう意味でHELL BLAUにしました。

 

 

ー今までいろいろなところで聞かれてるとは思うんですが、なぜ水色が好きなんですか?

あの:僕の中にも明確な答えはないんですけど、自分で初めて意志を持って選んだ色が水色だったから好きという感覚があります。あとは、イメージとして強さを感じるから好き。流れていくお水やせせらぎのような優しさ、おしとやかさのようなイメージがありながら、消えることのない火みたいな、強さもある気がするんです。

 

ーその両面を持っているイメージがある、あのさんにピッタリな色だなとあらためて思いました。そんな思いが込められたHELL BLAUとgroundsのコラボモデル、実際に手にとってみていかがですか?

 

あの:めちゃくちゃ可愛いです。色にもこだわることができたし、すごくいいものを作っていただきました。ほんと、groundsと一緒にやったからこそ。念願叶ってすごく満足しています。みんなにも早く履いてほしいなって思います。

サカベ:水色の中にもいろんなバリエーションがある中で、あのちゃんが選んだ水色はグレー寄りのトーン。僕自身はこれまで、あまり選んでこなかった色だったので、あのちゃんが選んだからこその色味に仕上がっていると思います。そこがポイントのひとつかなと思いますね。

 

 

ーHELL BLAUのコレクションに共通して「school」、学校がテーマになっています。そしてこのコラボモデルは“上履き”をモチーフにしているとお聞きしました。あのさんは学校や上履きには特別な思い入れがありますか?

あの:モチーフとしての上履きは可愛くて好きですけど、僕は「学校」自体が嫌いなんです。

サカベ:自分の記憶の中の学校と、創作物の学校にはだいぶ乖離があると思うんです。いろんなアニメとか漫画でも学校が舞台となるものはいっぱいあるけど、そこに出てくる学校のイメージと自分の記憶とは結構違う。あのちゃんはどう思う?

あの:そう思います。だから漫画とかに出てくる学校にはあんまり感情移入できない。

 

 

サカベ:全然違う世界として見てるってことだね。あえて、コレクションテーマを「学校」にした理由は?

あの:学生時代にいい思い出もないし、それこそ上履きも隠されたり、なんかカタツムリの殻がいっぱい入ってたり。嫌な記憶、ネガティブなイメージがあるからこそ、それを自分のお気に入りに作り替えて、ポジティブなものに変換したくて今回のコレクションを作りました。

 

ー今日着用されているのもHELL BLAUのアイテムですが、ファッションデザイナーとして、先輩であるサカベさんから見ていかがですか?

サカベ:まず、似合ってる。これがいちばん大事。そしてやはり、コスプレというか学校の制服的なものをファッションとして取り入れるのは日本独自の感性で、強みだとアイテムを見て思いましたね。上履きもそうなんだけど、コスプレにならない、絶妙なバランスでファッションとして成立していて、あのちゃん自身との雰囲気がすごい合ってるから、完璧だと思いますよ。

あの:嬉しい。安心しました(笑)

 

 

ー今回のコラボで、groundsのシューズに上履きのモチーフを落とし込むのに、あのさんがこだわった部分や苦労した部分はありますか?

あの:やっぱり、色ですかね。もともとgroundsも好きだしいっぱい靴も持っていて、さっきも言ったボロボロの、最初にgroundsを知った時からずっと履いてるやつがグレーなんですよ。僕はブルーも好きだけど、グレーも好きなんです。色々とパターンを出してもらって、色の提案を考える中で今回、ちょっとグレーがかったブルーがいいかなって思ったんです。

あとは、アッパー部分の上履きの質感ですね。そのまま上履きだと、外で履くには濡れやすいから、何加工だっけ?撥水加工(笑)をかけてもらって実現できました。「そんなこともできんだ!」って驚きもありつつ、オリジナルな一足に仕上がってめっちゃ嬉しいです。

サカベ:上履きをファッションに変換するのは、結構デザインとしては難しいんですよ。普通、どうしてもコスプレっぽくなってしまうし、上履きっぽさを残しつつクオリティを上げて、ちゃんとファッションまで落とし込むバランスは、僕からするとちょっと勇気がいるんです。groundsじゃ全然できてなかったところを、あのちゃんの提案で作れたことはすごい。僕としてもすごく満足度が高いです。

あの:実際めっちゃむずかったです。最初「無理かもな」って一瞬思っちゃったぐらい悩みました。なんかデコデコするのもまた違うじゃないですか。

 

 

サカベ:確かに、変化させすぎるとちょっと違ってくるので。上履き感を残しつつ、このバランスはすごいなと思いました。あと僕的にはつま先のラバー部分の手書き感を残しているのも良いと思います。ただのプロダクトじゃなくて、一点一点手作りしているユニークピースのような雰囲気を残せたのは素晴らしいですね。

あの:結構、今回手書きの質感は全体的に入れたいと思っていたんです。学校のものって自分で手書きして何か書いたりするじゃないですか。名前とか。HELL BLAU自体のロゴも手書きで、全体的にデザインとしてそういうものが多いかも。

 

 

サカベ:grounds自体、海外の方の購入者やファンが非常に多くて、groundsを履いてくれている人は基本的に日本のカルチャーが好きなんです。海外の方は日本の学校について、アニメや漫画を通じて知ると思うんですけど、そういった日本のカルチャー好きにもリーチしそうな気はしていますね。さらに手書きのリアル感が加わることで、より魅力が増している。そういう意味でもgroundsとHELL BLAUの今回のコラボはすごく相性がいいと思っています。

 

 

ー最後に、あのさんはこのコラボシューズをどんなシーンで、どんな風に履いてもらいたいですか?メッセージをお願いします。

あの:僕にとっては学生時代になるんですけど、この靴を手に入れた人が自分の嫌なこととか、そういうものをこれでいっぱい踏みつけるような気合で履いてほしいです。そしてポジティブなマインドで外に繰り出してほしい。

サカベ:あのちゃんの反骨精神がポジティブに表現されていていいですね。僕もリリース後の反応を楽しみにしています。

 

Photography: Hayato Takahashi
Text: Tomohisa Mochizuki (OMOHARAREAL)

OMOHARAREAL にスピンオフ対談記事を掲載

 

 

「HELL BLAU」コラボレーションアイテム概要
アイテム名:MOOPIE x HELL BLAU
価格:39,600円(税込)
サイズ:22cm - 27cm

 

販売情報
12月12日(金)18:00〜 HELL BLAU 公式オンラインストアにて販売
12月13日(土)〜26日(金)grounds STORE 004にて販売・特別展示
住所:150-0001 東京都渋谷区神宮前6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 3F
営業時間:11:00~21:00
休業日:RAYARD MIYASHITA PARKの休館日に準じて休業

 

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